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日外会誌. 122(6): 593, 2021

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特集

コロナとの対峙 外科診療の変容とポストコロナへ向けて

1.特集によせて

東京医科歯科大学 大学院救急災害医学分野

大友 康裕



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新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,わが国において2021年7月現在,5回にわたる感染流行の波を経験し,4回にわたる緊急事態宣言をへて,国民生活および医療体制に甚大な影響を及ぼした.その中で,わが国の外科診療も大きな影響を受けた.COVID-19患者への病床・人員確保と感染対策のための個人用防護具の供給不足によって外科診療の縮小を余儀なくされる一方,外来再診患者の絶対数を減らす試みと患者自身の受診抑制がみられた.その結果,医療資源の適正配分が求められ,外科手術のトリアージが迫られた.特にがん検診の抑制やがん手術のトリアージの結果,癌の進行など重篤な予後の増悪を招くことも危惧されている.
このような状況の中,日本外科学会では2020年3月にコロナウイルス対策委員会を組織し,コロナ禍において適切に外科医療を遂行することができるよう,本邦の外科医療への基本的対応指針を発信してきた.これらを参考として,全国の医療機関において,COVID-19流行下における外科診療体制の見直しが進められた.その結果,手術件数も徐々に回復し,一部の領域ではコロナ前に復活しつつあるが,感染対策においては継続的な努力が求められている.
ワクチンの普及によりパンデミックの終息に向けた光が,いよいよ見え始めた.本特集では,わが国の外科医がどのような対応を求められ,どのように変化・適合したかを総括する.さらに,今回の多くの経験とエビデンスを基に,今後解決すべき課題を抽出し,ポストコロナの外科診療についても展望する.

 
利益相反:なし

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