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日外会誌. 121(1): 131, 2020

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卒後教育セミナー記録

日本外科学会第95回卒後教育セミナー(平成31年度春季)

「魅力的な外科医師育成プログラムを目指して!」によせて

順天堂大学 医学部乳腺腫瘍学講座

齊藤 光江

(2019年4月20日受付)



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日本外科学会の卒後教育セミナーは,その課題と候補演者が前年度の日本外科学会教育委員会で検討して決められる.2019年第95回卒後教育セミナーの検討の場で,取り上げられたテーマは,外科学会が最も憂いている問題の一つ,外科医育成の問題であった.
プログラムに関して考慮された点は,様々な視点で育成に力を注いでいる団体もしくは個人に登壇してもらうこと,座長も含めて男女比が偏らないこと,アカデミアと一般病院のバランスなどであった.まさに外科医教育を考えるために立ち上がった北海道大学を中心とした研究グループ,難易度の高い技術を習得力の異なる若手に系統立った教育法を実践している形成外科医,教育は受け身ではなく能動的に行っていく意識が如何に重要かを解く小児外科教授,海外の外科研修経験のある女性外科医,症例が教育病院に必ずしも集約できていない中,効率よく実習をするために海外実習を取り入れている教育病院など,病院経営側への提案にもつながる外科医育成のためのより良い環境の整備,指導者たちを対象としたカリキュラムの提案,そして研修をする側への激励と言う具合に,バラエティーに富んだ内容になった.第1会場がほぼ埋まるくらいの盛況ぶりであり,またこれまで男性には敬遠されてきた女性医師問題も,教育という大きなくくりの中で扱うことで集客に成功できたことは喜びであった.
外科医は数ではないという声もあるが,医師偏在という課題解決にとっても数の確保は重要である.働き方改革と自己研鑽のバランスが最も難しい診療科の一つとされるが,英知と総力を結集すれば,必ずや魅力ある診療科になると信じている.本企画がそのための一助になったとすれば提案者としては光栄である.最後に,圧倒的なリーダーシップのもと,本企画を調整編集下さった大木委員長と様々な助言を下さった委員の皆様に深謝申し上げます.

 
利益相反:なし

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