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日外会誌. 127(5): 496-501, 2026


特集

外科医の職場環境改善に向けた現状と課題

5.消化器外科における職場環境改善の現状と課題

北里大学医学部 上部消化管外科学

比企 直樹

内容要旨
消化器外科医の不足は深刻な社会問題となっている.2023年に日本消化器外科学会ワーク・イン・ライフ委員会のアンケート調査では,自分の子どもに消化器外科医を勧めると回答した会員はわずか14%にとどまり,学会員数は2043年までに現在の半数に減少すると予測された.若手医師が消化器外科を忌避する主な理由は,①ワークライフバランスの悪さ,②将来のキャリア形成の不透明さ,③命の重さを受け止めきれないこと,であった.こうした状況を打開すべく,学会は報酬改善と業務環境整備の両輪を軸に行動してきた.その成果として令和8年度(2026年度)診療報酬改定では,「地域医療体制確保加算2」と「外科医療確保特別加算」が新設された.後者は長時間・高難度手術に対して手術料の15%を加算するものであり,加算額の30%以上を外科医への手当として支給することが算定要件とされた.今回の加算は,減少が最も顕著であった消化器外科を契機とした診療報酬史上初の突破口であり,正当に評価されてこなかった診療科の医師に制度が応答した画期的な成果である.この枠組みが同様の状況にある他の診療科・職種へ波及することが期待される.加算が外科医の増加につながるか否かは今後のモニタリングにかかっており,職場環境の真の改善に向けてはチーム制の醸成と段階的なシフト制への移行が不可欠である.

キーワード
消化器外科医, 働き方改革, 外科医療確保特別加算, チーム制, 診療報酬改定


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