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日外会誌. 126(2): 164-171, 2025
特集
外科医の働き方改革
7.日本の医療業界における働き方改革の現状と今後の展望
内容要旨
【背景】2024年4月から医師の働き方改革に関する時間外労働の上限規制が始まった.これまでの日本の医療は医師の長時間労働や自己献身により支えられてきたことは否めない.今後の医療提供体制を維持・発展させるためには,医師が健康に働き続けることのできる環境を整備することは,医師本人にとってはもとより,患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保する上で極めて重要と考えられる.
【現状】働き方改革の現状について,診療科別の時間外・休日労働時間が年1,860時間超の医師の割合,診療科別医師数の推移,医師の働き方改革と地域医療への影響,医療機関勤務環境評価センターにおける特例水準の推移,宿日直許可の許可件数等のデータから,働き方改革の影響を多角的に分析する.【課題】現状から導き出された主要課題として,①労働時間の見える化による医師の適正評価,②病院経営における残業代の負担増,③人材育成の効率化,の3点について論じる.
【方向性】これらを踏まえて,働き方改革後における日本外科学会のプレゼンスの更なる向上を目指して「ブランディング」の視点から議論する.医師・他職種・診療科・病院・学会・地域・患者などの医療界の利害関係者全員が改革の目的を理解し,戦略的に体制整備を発展させることができるかどうかが,働き方改革の成否を分けると考えられる.
キーワード
労働時間の見える化, 医師の適正評価, 人材育成, 日本外科学会, ブランディング
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