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日外会誌. 123(4): 325-329, 2022


特集

医療訴訟のここがポイント―外科医にとって今必要な知識―

5.腹腔鏡手術関連の医療訴訟の光と影

1) 東京女子医科大学 小児外科
2) 東京女子医科大学 医療安全科
3) 東京女子医科大学 法務部

世川 修1)2) , 大塚 啓高3)

内容要旨
腹腔鏡手術には数多くのメリットがあり,本邦では1990年の腹腔鏡下胆嚢摘出術の成功を皮切りに,1990年代に爆発的に各領域に広まり,外科手術に大変革をもたらした.しかし,腹腔鏡手術の特殊性により,開腹手術では考えられないような合併症や医療事故が腹腔鏡手術で実際に起きている.これら腹腔鏡手術の合併症や医療事故の収集・集計と分析は,日本内視鏡外科学会,日本医療安全調査機構,日本医療機能評価機構で行われており,医療事故の発生予防,再発防止のために貢献している.実際の医療訴訟の判例から考察すると,腹腔鏡手術に関連した医療訴訟においては,技術的な問題と説明義務違反が過失として認容される傾向にある.安全で確実な腹腔鏡手術を行うためには,高度な技術と知識が要求されるため,日本内視鏡外科学会の技術認定制度を活用したり,アンケート調査や各機構からの集計・分析,各領域のガイドラインを参照し,より具体的なインフォームド・コンセントを行うことが重要である.

キーワード
腹腔鏡手術, 医療訴訟, 医療事故, 合併症, インフォームド・コンセント

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