[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (4809KB) [全文PDFのみ会員限定]

日外会誌. 122(4): 386-391, 2021


特集

直腸癌治療の温故知新

5.究極の肛門温存術ISRがもたらしたもの

久留米大学 外科学

赤木 由人 , 藤田 文彦 , 吉田 武史 , 合志 健一 , 大地 貴史

内容要旨
肛門縁から5㎝以内に存在する直腸癌に対する肛門温存手術としてISR(Intersphincteric resection;括約筋間直腸切除術)が施行されるようになり四半世紀が経過した.本邦においてはISRの導入に際して排便機能や根治性について危惧する議論があった.ISR術後の長期成績や排便機能の結果が報告されているが,局所再発をはじめ手術成績は比較的良好といったものが多い.しかしながら排便機能については必ずしも満足が得られているとは言い難い.ISRが普及していく間に内視鏡手術も普及し,本術式に関わった施設がいかなる点に注力してきたかを振り返ってみた.手術実施あたり直腸をとりまく肛門括約筋や種々の筋群の配置や形態,走行の特徴がより詳細に報告されている.術後の愁訴から直腸や括約筋の生理機能が推測されている.このようにISRは臨床解剖学や排便に関わる筋組織の機能という点でProctologyへの関心をもたらしたのではないかと思われる.

キーワード
Intersphincteric resection, 排便障害, 肛門解剖


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。