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日外会誌. 122(4): 369-374, 2021
特集
直腸癌治療の温故知新
2.肛門温存術の歴史
内容要旨
直腸癌に対する肛門温存術には,直腸を切除し最終的に口側腸管と肛門側腸管もしくは肛門を吻合する術式が含まれる.1940年前後より欧米で開始された貫通術式(pull-through)は,本邦では陣内らにより1960年前後より行われた.本術式は,経腹・経肛門よりのアプローチ法で,2期手術として施行された.同時期に欧米で行われた前方切除術は経腹のみのアプローチで1期的に行われるが,本邦では1960年代より今や安富らにより開始された.この時代の前方切除術では,肛門側直腸の切離部位は,かなり高位であった.同時期には,直腸切除のためのアプローチ法として経仙骨的切除も行われたが,侵襲が大きく合併症が多いため現在ではほとんど施行されていない.1970年代にはsingle stapling法による器械吻合が開始され,癌の肛門側進展の研究と相まって,より低位での直腸の切除と吻合が行われるようになった.1980年開発されたdouble staplingによる器械吻合は,前方切除術で現在も広く使われている.1990年代に開発された肛門温存術は括約筋を一部切除する術式である.Parkは1970年代に本術式の先駆的な術式である経肛門的結腸肛門吻合術を開発し,寺本が本邦で報告している.肛門温存術は経腹・経肛門的な1期的吻合術式である.2010年代に開発されたTaTMEは,腹腔鏡による経腹・経肛門な直腸切除術式である.
キーワード
直腸癌, 前方切除術, 貫通術式, 肛門温存手術, 括約筋温存手術
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