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日外会誌. 122(3): 352-358, 2021
会員からの寄稿
COVID-19感染拡大下における群馬県がん手術症例数の減少:2020年1~9月の集計結果
内容要旨
【背景】2020年1月から始まったCOVID-19の感染拡大は本邦の医療に大きな影響を与えた.しかしながら,がんの手術への影響について検討した報告はない.そこで今回,17の群馬県のがん診療連携拠点・推進病院すべてにアンケート調査を行った.【対象と方法】2020年1月から9月までの胃・大腸・肺・乳がんの切除症例数,および,2019年の同月の手術症例数を集計し,比較検討した.さらに発見契機が検診である症例(検診例)数と検診以外である症例(非検診例)数をがん腫ごとに検討した.【結果】17病院では2019年1~9月に3,505件のがん手術が行われていたが,2020年の同月には3,236件,7.7%減少した.月別の症例数の推移を2019年の同月を100%として比較すると2020年の5月からやや減少がみられ,6月から9月にかけて20%近い有意な減少がみられた.がん種別で検討すると4がん種全てで手術症例数は減少し,5.9%~10.6%の減少を認めた.検診・非検診別では,6~9月期における胃・大腸・肺がんの検診発見群で有意な減少がみられたが,乳がんでは有意な差はみられなかった.【結論】2020年には群馬県の胃・大腸・肺・乳がんの手術は7.7%減少し,その要因としては検診受診者数の減少が最も重要である.有意ではなかったものの,検診発見以外の手術症例も減少している傾向があり,有症状者の受診抑制や経済的困窮の関与が考えられた.がんの発見や適切な治療の遅延を招かぬように情報を発信し,結果としてがん検診への受診,有症状者の病院受診を促すことが重要と考えられた.
キーワード
COVID-19, がん, 手術症例数, がん検診, 群馬県
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