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日外会誌. 120(6): 663-670, 2019


特集

外科医とがん登録―NCDから見えてきたわが国のがん治療の実態―

7.肝がん登録

1) 日本肝癌研究会追跡調査委員会委員 
2) 日本肝癌研究会追跡調査委員会委員長 
3) 近畿大学医学部 消化器内科

工藤 正俊1)2)3) , 泉 並木1) , 久保 正二1) , 國土 典宏1) , 坂元 亨宇1) , 椎名 秀一朗1) , 高山 忠利1) , 建石 良介1) , 中島 収1) , 松山 裕1) , 村上 卓道1)

内容要旨
日本肝癌研究会では1967年に創立以来,これまで2年ごとに原発性肝癌調査報告を発刊してきた.2013年7月10日日本肝癌研究会追跡調査委員会にて今後の肝がん登録についてはNational Clinical Database(NCD)移行が決定され,現在では2015年12月24日よりNCDへの登録が始まり,解析もNCDにおいて行われている.
直近では第20回の調査報告書(2008~2009年登録症例)が2019年3月10日に発刊された.第20回原発性肝癌追跡調査においては544施設21,075例の新規症例と追跡症例40,769例が集計された.追跡症例の回答率は90.4%であった.基礎統計は第20回新規登録症例を対象として既往歴,臨床診断,画像診断,治療法別の各因子,病理診断,再発,剖検についてまとめた.また生存曲線である生存率についての特別集計は第15回から第20回まで新規登録症例の中で最終予後が生存または死亡となった症例について肝細胞がん,肝内胆管がん,混合型肝がんの治療法別累積生存率を算出した.
肝細胞がんについては特に第5回から8回の第Ⅰ期(1978~1985年登録症例),第9回から12回の第Ⅱ期(1986~1993年登録症例),第13回から16回の第Ⅲ期(1994~2001年登録症例),第17回から20回の第Ⅳ期(2002~2009年登録症例)に分けて検討したところ,median OSはそれぞれ4.99カ月,25.63カ月,42.97カ月,60.81カ月と明確に予後が向上していることがわかる.

キーワード
肝癌登録, 手術成績

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