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日外会誌. 120(4): 425-430, 2019


特集

膵手術・膵癌治療の進歩

6.膵頭十二指腸切除術―2期的膵空腸吻合法の意義―

獨協医科大学 第二外科

青木 琢 , 窪田 敬一

内容要旨
膵頭十二指腸切除(pancreatoduodenectomy,PD)後の膵液瘻はいまだ最大の合併症であり,完全な抑制は得られていない.膵液瘻に続発する合併症の程度を軽減する目的で,2期的膵空腸吻合法を膵液瘻の高リスク症例(soft pancreas例,膵周囲の高度炎症例,肝葉切除兼膵頭十二指腸切除例など)に対して行っている.1期目のPD施行時には主膵管内に節つき膵管チューブを挿入,固定して完全外瘻とし,膵実質と挙上空腸は密着させるのみとする.3カ月後に必要最小限の癒着剥離を行って膵断端を明らかにし,膵管空腸粘膜吻合を行い,膵管チューブは入れ替えののちに内瘻または内外瘻とする.1期目の切除後に膵液の活性化が起こらないため,膵液瘻の頻度が減少するわけではないが重篤な合併症の頻度は軽減される.2期目の吻合手術には習熟が必要であるが,安全に施行可能であり,全体としてPDの安全性向上に寄与する手技であることがこれまでも報告されている.術後早期の再発により,2期目の手術が施行できない症例があることが問題であるが,再発治療を行いつつ,2期的吻合術も機をみて行うなどの戦略の修正により対応可能であると考えている.

キーワード
膵頭十二指腸切除術, 膵液瘻, 膵空腸吻合


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