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日外会誌. 119(5): 496-502, 2018


特集

Marginally resectable 局所進行大腸癌への治療戦略

6.仙骨へ浸潤する直腸癌

大腸肛門病センター高野病院 外科

山田 一隆 , 佐伯 泰愼 , 岩本 一亜 , 福永 光子 , 田中 正文 , 野口 忠昭 , 高野 正太 , 中村 寧 , 深見 賢作 , 桑原 大作 , 辻 順行 , 高野 正博

内容要旨
原発性直腸癌での隣接臓器浸潤は前方臓器に多くみられ,仙骨浸潤は低分化型腺癌や痔瘻癌などの特殊例が多い.一方,直腸癌局所再発では後方再発(仙骨浸潤型)が多くみられる.仙骨浸潤直腸癌に対する外科的治療においては,仙骨の局所解剖に精通することが重要であり,仙腸関節,仙骨神経叢,陰部神経叢,尾骨神経叢の認識とともに,仙骨の骨皮質・仙骨前結合織(presacral connective tissue;PCT)への浸潤程度による外科的治療の有用性の相違に基づいた治療戦略が重要となる.
仙骨浸潤直腸癌に対する術式として,直腸切断術と仙骨合併切除を行うabdominoperineal resection with sacral resection(APRS),骨盤内臓全摘術(total pelvic exenteration;TPE)と仙骨合併切除を行うTPE with sacral resection(TPES)がある.著者らはpresacral approachの仙骨合併切除(S3~)を行っているが,根治性を損なわずに比較的低侵襲で行える拡大手術である.仙骨浸潤を認めた症例に対するAPRS,TPES施行症例の予後に関しては,治癒切除症例における累積5年生存率が原発性直腸癌で62.5%,直腸癌局所再発で28.3%であり,局所再発での仙骨浸潤症例の予後は比較的不良であった.仙骨皮質への浸潤例などに対する補助療法として,化学療法や放射線療法(術前外照射,術中照射)とともに,重粒子線治療の適応拡大も期待される.適切な適応基準の基では,APRSやTPESが高い根治性を有する比較的安全な手術法として推奨される.

キーワード
直腸癌, 仙骨浸潤, 仙骨合併切除

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