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日外会誌. 119(5): 488-495, 2018


特集

Marginally resectable 局所進行大腸癌への治療戦略

5.前方隣接臓器へ浸潤する局所進行直腸癌に対する外科的治療戦略

名古屋大学 腫瘍外科

上原 圭介 , 相場 利貞 , 向井 俊貴 , 冨田 明宏 , 田中 綾 , 江畑 智希 , 梛野 正人

内容要旨
狭い骨盤内で他臓器浸潤をきたすT4b直腸癌は決して少なくない.言うまでもなく,R0切除が根治のための絶対条件になる訳であるが,骨盤内臓全摘術などの拡大手術が必要になる事もあり,その手術の技術的難易度は高い.術者は骨盤内解剖の熟知と経験が求められる.浸潤方向は大きく前方浸潤,後方浸潤,側方浸潤などに大別されるが,本稿では前方臓器浸潤,すなわち男性では膀胱・精嚢・前立腺・尿道近位部,女性では膀胱,子宮,膣などの尿路・生殖器臓器浸潤に対する外科的治療戦略および各々の手術術式の適応と注意点について述べる.
一口に直腸癌前方浸潤と言っても,性別,腫瘍の局在,大きさなどにより,適応となる術式は多種多様である.日常から骨盤解剖に慣れ親しみ,画像で必要十分な術式を決定する事が重要である.経験の少ない外科医が陥りがちな落とし穴であるが,画像から浸潤がないから温存可能であると“絵に描いた餅”の手術を想定するのは危険である.想定術式の術中光景が脳裏に浮かばないような手術は,実際の手術では遂行不能と考えた方が良い.臓器を温存してマージンをしっかり確保する事が,臓器合併切除よりもずっと難易度が高いことを肝に銘じるべきである.患者の多くが望むのは治癒であり,機能温存は二の次である事を今一度再認識したい.

キーワード
前方浸潤, 局所進行直腸癌, cT4b, 骨盤内臓全摘術

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