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日外会誌. 119(5): 475-481, 2018


特集

Marginally resectable 局所進行大腸癌への治療戦略

3.SMA中枢に腫大リンパ節を伴う右側結腸癌

がん研有明病院消化器センター 大腸外科

小西 毅 , 富永 哲朗 , 上野 雅資 , 福長 洋介 , 長山 聡 , 藤本 佳也 , 秋吉 高志 , 長嵜 寿矢 , 山口 智弘 , 佐野 武 , 山口 俊晴

内容要旨
SMAに沿った主リンパ節転移を有する局所進行右側結腸癌の近年の外科治療成績について,当院のデータベースから得られた知見を元に報告する.2004年から2013年までに当院で手術を施行したpStage Ⅱ/Ⅲ右側結腸癌586例(Stage Ⅱ:308例,Stage Ⅲ:278例)を対象とし,リンパ節転移の解剖学的分布と予後について解析した.手術により摘出したリンパ節は1個ずつシェーマ上にマッピングして個別にホルマリン固定し,解剖学的位置と病理検索結果が1対1で対比できるようにして病理検索に提出した.術後経過観察中央値は59カ月で,Stage Ⅱ/Ⅲコホート全体における5年全生存率(OS)は87.5%,5年無再発生存率(RFS)は82.7%であった.Stage Ⅱでは5年OS 91.6%,5年RFS 84.9%,Stage Ⅲa(リンパ節転移3個以内)では5年OS 87.0%,5年RFS 84.8%,Stage Ⅲb(リンパ節転移4個以上)では5年OS 67.8%,5年RFS 62.5%であった.リンパ節転移が傍結腸リンパ節に留まる症例は185例(31.6%),中間リンパ節に留まる症例は76例(13.0%),主リンパ節転移を有する症例は17例(2.8%)であった.リンパ節転移が傍結腸リンパ節転移に留まる症例は5年OS 86.7%,5年RFS 83.5%,中間リンパ節転移に留まる症例は5年OS 74.5%,5年RFS 72.1%,主リンパ節転移を有する症例では5年OS 62.5%,5年RFS 57.5%であった.主リンパ節転移を認めた17例のうち,10例が最終フォロー時点で生存していた.9例に再発を認め,その内訳は肝2例,肺2例,リンパ節2例,腹膜播種2例,局所1例であった.主リンパ節に転移を有する右側局所進行結腸癌ではD3郭清を伴う切除により6割程度の比較的良好な5年生存率が得られるため,積極的な切除が推奨される.

キーワード
結腸癌, 上腸間膜動脈, D3郭清, 主リンパ節


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