[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (396KB) [会員限定]

日外会誌. 118(6): 622-627, 2017


特集

分子標的療法は外科治療をどう変えるか

4.乳癌

東海大学医学部 乳腺・内分泌外科

徳田 裕

内容要旨
本邦の2004年から2011年までの250,000例を超える乳癌登録データによると,HER2陽性原発症例は,12.3~15.5%であり,また,trastuzumabの術後補助療法の適応が未承認であった2004年次の予後解析では,triple negative乳癌が最も予後不良であり,ついでHER2陽性サブタイプであった.
ガイドラインでは,HER2陽性サブタイプに対して,術後補助化学療法にtrastuzumabの追加を推奨している.また,術後補助化学療法と同一レジメンの術前化学療法の予後における効果は同等であることが知られている.したがって,HER2陽性乳癌症例に対して,術前抗HER2薬の投与が推奨されるわけである.
前向きの臨床試験による予後解析は不十分であるが,HER2陽性サブタイプについては,pathological complete response(pCR)と予後の相関が指摘されている.したがって,術前化学療法は,pCRを目指しており,現在までの前向きの試験から,抗HER2薬として,trastuzumabとpertuzumabの併用が推奨されている.

キーワード
HER2陽性乳癌, 術前化学療法, 抗HER2薬


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。