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日外会誌. 118(5): 539-543, 2017


特集

外科専門医のための外傷外科手術off-the-job training(OFF-JT)

7.遺体による手術手技研修の現状

北海道大学大学院医学院 医学研究院消化器外科学教室Ⅱ

七戸 俊明 , 村上 壮一 , 倉島 庸 , 平野 聡

内容要旨
近年の高度で複雑な医療を安全に広く提供するには,効率的な手術手技研修の実施が必要である.on the job training(OJT)は手術手技研修の基本であるが,近年は内視鏡手術などの高度な手術手技の普及に加え,医療安全に対する配慮や患者意識の向上などの医療を取り巻く環境の変化により,“on the job”を補完するシミュレーション,実験動物を用いた研修(アニマルトレーニング)などのoff-the-job training(OFF-JT)の充実が求められている.また,外傷外科領域特有の問題点として,交通事故件数の減少等により,OJTの機会そのものが極端に少なくなっていることが挙げられる.特に地域の中核病院において,普段は一般外科診療に従事しつつ外傷外科手術にも即応する外科医師にとって,外傷外科手術の経験不足を補完するOFF-JTの必要性は極めて高い.
諸外国では外科教育の手法の一つとして確立している遺体による手術手技研修(Cadaver training;カダバートレーニング)であるが,わが国でも平成24年に「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が公表されたことをうけ実施が可能となった.
本稿では,「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」を解説し,わが国でのカダバートレーニングの現状と今後の展望について述べる.

キーワード
臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン, カダバートレーニング, 死体解剖保存法


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