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日外会誌. 118(4): 428-433, 2017


特集

大腸癌診療の最近の動向

7.大腸癌治療における腹腔鏡手術

福岡大学 消化器外科

長谷川 傑 , 橋本 恭弘 , 中島 亮 , 長野 秀紀 , 松岡 泰祐 , 薦野 晃 , 坂本 良平 , 愛洲 尚哉 , 小島 大望 , 吉田 陽一郎

内容要旨
腹腔鏡下大腸手術の最初の報告から四半世紀が経過した.腹腔鏡手術には開腹手術に比較して体壁破壊の減少,拡大視効果,手術画像の保存や再生が可能であることなどの利点があり,大腸癌に対する腹腔鏡手術の症例数は年々増加傾向にある.腹腔鏡手術の有効性と安全性に関するエビデンスとして,結腸癌に関しては最近JCOG0404の長期成績が明らかになり,これまでの海外での大規模臨床試験の結果を本邦でもほぼ追認する結果となった.一方で直腸癌に関しては骨盤底での直腸周囲の剥離・切離操作の技術的難易度が高く欧米の臨床試験では剥離断端陽性率が高いなどの懸念材料も示されており,診療ガイドラインでも慎重な適用が推奨されている.内視鏡外科手術の技術水準を担保するために技術認定医制度が導入されて10年あまりになるが,合格率は20~30%と技術習得は決して容易ではないことが伺える.腹腔鏡手術のメリットを活かし安全に手術を施行するためには手術の難易度とチームの習熟度を十分に勘案して適応を判断することが必要である.一方大腸癌に対する腹腔鏡手術は,機器の進歩もあり,より高難度な症例に対する適応拡大や新しいアプローチ法の開発など現在でも進化を続けている.

キーワード
大腸癌, 手術, 腹腔鏡


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