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日外会誌. 118(3): 299-304, 2017
特集
外科医に求められる倫理
7.治験・臨床研究・利益相反に関する倫理的規律の改正動向
内容要旨日本では,1990年から2000年代初頭にかけて,治験,臨床研究,利益相反(以下,COIという.)に関する各種の指針が整備されてきたが,これらの指針について,現在,改定され,または改定が行われる過程にある.これは,2013年から2014年に発生したディオバン事件やタシグナ事件,STAP細胞事件といった臨床研究における不祥事事件に対応する改正といえる.
2014年には,臨床研究と疫学研究の各倫理指針が統合され,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下,「医学系研究指針」という.)」が制定されたが,同倫理指針を含む医学系研究3指針について,2017年2月に,個人情報保護法改正に伴う改正が行われた.また,特定の臨床研究を規制する臨床研究法が2017年4月7日に国会で成立し,利益相反についても近時の不祥事事件に対応して,日本医学会ガイドラインの大きな改定がなされた.これらの倫理規律の制定,改正等のキーワードは,「不祥事事件を背景とした研究の信頼性確保」と「個人情報保護法改正への対応」といえる.
いかに優れた研究結果であっても,倫理指針の遵守が為されていない場合,その成果が認められないおそれがある.各種の倫理的規律は,今後も,不祥事事件や社会の動向に応じて随時改正等がなされる可能性があり,研究を行う者は,倫理指針や法律の内容および改正の動向について,常に細心の注意を払う必要がある.
キーワード
倫理指針, 治験, 臨床研究法, 個人情報保護法, 利益相反
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