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日外会誌. 118(3): 305-311, 2017


特集

外科医に求められる倫理

8.個人情報(学会発表・遺伝子関連)

順天堂大学病院管理学,岩井法律事務所弁護士 

岩井 完

内容要旨
平成27年9月に個人情報保護法(以下,個情法という)が改正され,個人識別符号や要配慮個人情報といった用語が新設されるなど,個人情報の内容自体にも大きな変更が加わった.ゲノムデータは個人識別符号に該当し,ゲノム情報は要配慮個人情報に該当し得るなど,個人情報の概念は複雑になってきており,特に要配慮個人情報については,個情法上,取得にあたり原則同意が必要で,第三者提供にあたりオプトアウトが使用できないため,慎重な対応が要求される.
こうした個情法の改正に伴い,医療従事者の業務における個人情報の取扱いに関する運用指針であるガイドラインの見直しも進んでいる.ガイドライン改正案では,要配慮個人情報の取扱い等について具体的な記載も多く盛り込まれており,参考になるため確認しておきたい.
医学研究に関する倫理指針においても,同様に見直しが進んでいる.要配慮個人情報等の登場に伴い,「匿名化」の定義そのものやインフォームドコンセント(以下,ICと記載する)の在り方等が大きく見直されるなどしている.
改正個情法の全面施行は平成29年5月30日と目前に迫ってきているため,外科医としては,日々の診療,学会発表,研究等において個人情報を適切に取り扱えるよう,個情法の改正の要点(特に個人識別符号と要配慮個人情報など)を理解し,ガイドラインや倫理指針の見直しの動向を注視していく必要がある.

キーワード
個人情報, 個人識別符号, 要配慮個人情報, インフォームドコンセント, オプトアウト


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