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日外会誌. 117(3): 204-211, 2016


特集

高齢者における外科治療の低侵襲化と至適管理

8.高齢社会におけるNSTの効果と将来展望

藤田保健衛生大学 医学部外科・緩和医療学講座

東口 髙志

内容要旨
2010年の診療報酬改定で,新設された「栄養サポートチーム(NST)加算:200点/症例(週一回)」は,当初急性期病床が対象となっていたが,2012年の改正では,その適応が拡大され慢性期病床であっても算定が可能となった.また,「栄養管理実施加算」が入院基本料に包含され,実質上基本的な栄養評価と管理がルーチン化された.医療の基盤を担う栄養管理が,このように診療報酬の加算として評価を受けたことは,まさしく世界に先駆けてのことである.急激に進む高齢化やがん患者の増加を背景とするわが国の社会情勢からみると,NSTによる医療の内側をまずしっかりと固め,早期回復,早期社会復帰を目指した栄養管理の実践が必須である.さらに,将来は医療の前や後,すなわち医療の外においても栄養管理を徹底して,NST+WAVES(We Are Very Educators for Society)を基盤とした「社会栄養学」の構築に取り組む必要がある.
私たち外科医をはじめ,少なくとも栄養管理に身を置く者たちは自分たちの持てる知識や技術と力を結集し,栄養管理や栄養療法を基盤として,子供から高齢者まで,すべての国民がどこででも,またいつまでも幸せにいきいきと生活できる社会体制を構築するように励むことが大切である.

キーワード
栄養サポートチーム(NST), 栄養サポートチーム加算, 高齢社会, 社会栄養学, WAVES


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