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日外会誌. 115(6): 323-328, 2014
特集
わが国の小児外科五十年のあゆみ
5.小児呼吸器外科の進歩
I.内容要旨
1990年,日本小児外科学会会員の有志により小児呼吸器外科研究会の第1回会合が神戸で開催され,第2回目以降はCCAM(Congenital Cystic Adenomatoid Malformation),肺分画症,気管気管支軟化症,肺葉性肺気腫,などを年度ごとに要望演題として指定し,小児病理医の参画を得て臨床経過と病理所見を供覧しながら検討された.小児科医·小児外科医と病理医の合同セッションを積み重ねることにより,各疾患の概念が整理された.わが国の小児呼吸器外科の発展は日本小児外科学会のもとで活発に活動してきた本研究会の活動成果に集約される.
後天性声門下腔狭窄症の手術例が蓄積されてきた.提案されたModified Myer-Cotton分類は,Myer-Cottonのgradingに重大な全身の併存疾患の有無,声門病変の合,この両者の合併の3つの亜型を区別したものであり,術式の決定と治療成績の判定に有用であることが示された.先天性気管狭窄症に対するスライド形成術にも新しい工夫が追加され,手術成績が漸次改善してきた.
主な肺実質の嚢胞病変は気管支閉鎖症,先天性肺気道奇形(CPAM),および肺分画症で,気道と肺が前腸のbuddingで発生することから共通の病理組織所見や種々の境界病変の組み合わせが出現する.先天性嚢胞性肺疾患分類として,1)気管支異常群(乳児肺葉性肺気腫を含む),2)CPAM,3)肺分画症群,4)前腸重複嚢胞群,5)その他,に分ける考えが検討され,病因としての気管支閉塞機転が着目された.
キーワード
小児, 気道狭窄, 嚢胞性肺疾患, 病型分類, 胸腔鏡手術
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