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日外会誌. 115(3): 137-142, 2014


特集

肺癌治療の最近の動向

5.積極的縮小手術としての肺区域切除

広島大学 腫瘍外科

岡田 守人

I.内容要旨
画像診断機器の進歩とCT検査の頻用,検診の普及によって小型·早期肺癌が急増している昨今,積極的縮小手術としての肺区域切除(根治的肺区域切除)Radical Segmentectomyは肺癌手術の質(癌の根治性と肺機能の温存)を満足させる術式であり,さらに内視鏡アプローチを取り入れることで手術侵襲の軽減(創痛の減弱と早期の社会復帰)を実現できる.同じ縮小手術に分類される肺楔状切除(部分切除)と異なり,区域切除は肺動静脈·気管支を区域レベルまで剥離露出するため癌手術には欠かせないリンパ節の評価が肺門において可能で,さらに胸膜から離れた深い病変に対しても十分なマージンを保って切除できる.区域切除と肺葉切除を比較する大規模な第III相多施設共同臨床試験が本邦と米国で進行中であり,その結果は教科書を変更する可能性を秘めている.細かい血管·気管支の変位に対応すること,縮小手術元来の目的である肺機能温存を最大にすること,必要充分なマージンを確保すること,意図的に残す区域の局所再発を防ぐこと,局所再発に対する残存肺葉切除など難度が高い手術をこなすことなど,手技がその結果に直結する.根治的区域切除の手術レベルの向上が急務である.

キーワード
Segmentectomy, sublobar resection, lung function, small lung tumor, early lung cancer


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