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日外会誌. 114(5): 241-245, 2013


特集

外科医のためのKampo EBM UP TO DATE

4.術後感染症と漢方

1) 独立行政法人国立病院機構福山医療センター 院長
2) 岡山大学大学院 保健学研究科

岩垣 博巳1) , 齋藤 信也2)

I.内容要旨
漢方補剤である補中益気湯(TJ-41)の術前投与が術後の過剰な生体反応を緩和し,術後感染等の合併症を減少させる仮説をRandomized control studyにて検討した.胃·大腸癌手術予定患者をTJ-41投与群と対照群に無作為に割り付け,血中コルチゾール値,臨床指標,術後2nd lineの抗菌薬使用頻度を解析した.その結果,TJ-41投与群において,術後1日目のコルチゾールの増加率は有意に抑制され,術後の発熱·頻拍,並びに2nd lineの抗菌薬使用頻度も有意に低かった.TJ-41術前投与は手術侵襲に対する術後の過剰な炎症反応と遷延する免疫抑制反応を緩和し,術後感染を減少させる可能性が示唆された.

キーワード
手術侵襲, 全身性炎症反応症候群, 漢方補剤, 術後感染, 補中益気湯


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