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日外会誌. 114(4): 196-200, 2013


特集

進行肺癌に対する拡大手術―最近の動向―

7.癌性胸膜炎に対する外科治療

1) 名古屋大学大学院 医学研究科呼吸器外科学
2) 栃木県立がんセンター 呼吸器外科

横井 香平1) , 松隈 治久2)

I.内容要旨
原発性肺癌における癌性胸膜炎は,悪性胸膜中皮腫同様根治が困難な病態とされ,UICC TNM分類第7版ではM1aに分類されIV期と規定された.しかし,本病態は多量の悪性胸水貯留例から手術時初めて発見される微量の悪性胸水や胸膜播種例まで多岐にわたり,後者に対しては外科切除を主体とした治療成績が少なからず報告されている.手術適応症例における癌性胸膜炎の頻度は約3%であり,これら症例に対する外科治療成績は,生存期間中央値15∼34月,5年生存率13∼34%と報告されている.しかし,症例の選択基準,切除方法,術前術後の補助療法などは未確定であり,さらに近年の進歩しつつある化学療法,分子標的薬による治療成績との対比も行われていないことから,癌性胸膜炎の病態のさらなる解析と治療方法の検討が期待される.

キーワード
肺癌, 外科切除, 癌性胸膜炎, 胸膜播種, 悪性胸水


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