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日外会誌. 114(4): 182-185, 2013


特集

進行肺癌に対する拡大手術―最近の動向―

4.胸壁合併切除

杏林大学 呼吸器外科

苅田 真 , 近藤 晴彦 , 呉屋 朝幸

I.内容要旨
胸壁浸潤肺癌はT3に分類され,切除可能な場合には外科療法が第一選択となる.完全切除とリンパ節転移は予後因子として認められるが,胸壁浸潤の程度については一致した見解はない.T3N0症例でも5年生存率40%程度と予後不良なこれらの症例に対して,手術単独ではなく手術に加えた集学的治療で成績を改善することが必要であろう.近年,病態的に類似と考えられる肺尖部胸壁浸潤癌については術前化学放射線療法を加えた後に外科療法を行うことで良好な成績が報告されており,肺尖部以外の胸壁浸潤癌についても集学的治療で効果が期待できると考えられて臨床研究が行われているところである.また,IB期からIIIA期の非小細胞肺癌に対して術後補助化学療法が推奨されており,胸壁浸潤肺癌においても完全切除後にプラチナ製剤併用の化学療法を加えることを考慮すべきである.
ここでは呼吸器外科医として必須の技術である胸壁合併切除について,完全切除のために注意すべき切除縁の考え方と鑿(ノミ)を用いた肋骨頭の剥離法,胸壁の再建方法を紹介する.

キーワード
肺癌, 胸壁浸潤, 肋骨切除, 胸壁再建


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