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日外会誌. 111(5): 294-298, 2010


特集

小児臓器移植の現状

5小腸移植

1) 旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科学分野
2) 北海道大学大学院 消化器外科·一般外科

古川 博之1) , 鈴木 友己2) , 藤堂 省2)

I.内容要旨
心臓,肝臓,腎臓などの移植が1980年代に急速に発展を遂げたのに対し,小腸移植が実際に小腸不全に対する一治療法として認識されるのは1990年代に入ってからとなる.小腸移植の発達が遅れた大きな原因は,拒絶反応の制御の難しさであった.しかも,小腸は常に細菌を多く含んだ外界と接しており,容易に感染が引き起こされる.現在,免疫抑制剤を中心とする術後管理の進歩に伴い,小腸移植の成績は年々改善をみているが,小腸移植の成功は,タクロリムスの開発なしにはありえなかった.しかしながら,タクロリムスだけでは,拒絶反応を完全に回避することは難しく,さらに新しい免疫抑制療法の開発が期待された.こうして,小腸移植に対する免疫抑制療法は,タクロリムスに加えて,シクロフォスファミドの使用に始まり,骨髄同時移植,daclizumabの使用,小腸グラフトへの放射線照射,rATG(thymoglobulin)やalemtuzumab(CAMPATH-1H)の使用と次々に改良されてきた.しかしながら,ピッツバーグとマイアミの報告にみられるように,免疫抑制療法(rATG vs daclizumab)については必ずしも一致をみていない.これは,グラフトの種類についても同様のことがいえる(肝小腸vs腹腔内全臓器).日本の小腸移植を成功に導くためにも,これら2施設からの情報を十分検討し,戦略を立てていく必要がある.

キーワード
小腸移植, 小児移植, 免疫抑制剤, 拒絶反応, 感染症


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