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日外会誌. 111(2): 91-96, 2010
特集
動脈閉塞症に対する手術 vs 血管内治療:治療成績からみた選択基準
5.下腿動脈病変
1)血管内治療
I.内容要旨
重症虚血肢(Critical limb ischemia;CLI)は糖尿病,末期腎不全の増加などを考慮すると今後CLIの増加が予想される.CLIの多くは腸骨動脈から膝窩動脈以下まで病変を持ち,膝窩動脈以下に閉塞性の病変を伴っていることが多い.近年の血管内治療(Endovascular therapy;EVT)の進歩は著しく,腸骨動脈から膝窩動脈以下までカテーテルによる血行再建が可能になった.膝窩動脈以下はCLIにおける責任病変であり,膝窩動脈以下の血行再建を行うことが必要になる.当院におけるCLI Rutherford 5,6群,連続症例122症例,150肢を対象に検討した.男性88名,平均年齢は70±10歳であった.糖尿病66%,透析44%であった.全症例にEVTを試み,12例が外科手術を必要となった.112例(92%),138肢(92%)にEVTに成功した.EVT後の死亡は3例(2.5%)に認められた.術後30日以内の大切断は12例(8%)に認めた.救肢率は1年92%,3年86%,5年86%であった(
図4).生存率は1年82%,3年61%,5年56%で5年予後はきわめて不良であった.生存率は透析群か否かで有意な予後の差を見た.CLIにおけるEVTは妥当と考えられた.リスクの低いEVTの重要性はもっと認識されるべきである.CLIに対するEVTは有用な血行再建手段としてとらえることが大切である.
キーワード
critical limb ischemia, below the knee disease, endovascular therapy
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