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日外会誌. 110(1): 12-16, 2009


特集

感染性心臓·大動脈疾患の治療

4感染性大動脈瘤

北海道大学病院 循環器外科

椎谷 紀彦

I.内容要旨
感染性大動脈瘤には感染性心内膜炎の結果発生する狭義のmycotic aneurysmsの他,microbial arteritis with aneurysm(最も多い),infected preexisting aneurysmsがあり,稀ではあるが臨床経過が早く高率に破裂することが知られている.感染徴候は軽微である場合も多く,血液培養の陽性率は50から70%程度で,血管壁と内容物の培養も偽陰性となる可能性があり,診断は必ずしも容易ではない.起因菌はサルモネラ,ブドウ球菌が多いが,嫌気性菌等もみられる.画像診断では嚢状,多房性が典型的である.外科治療では,血行再建法や代用血管の選択にcontroversyが多い.胸部·胸腹部ではin situ再建が行われるが,腎動脈下では非解剖学的再建も行われ,全身·局所状態に応じて使い分けられる.代用血管では,ePTFE,リファンピシンなど抗菌性を付加したDacronに加え,自家深部静脈やhomograftも用いられる.大網充填は局所の感染制御や人工血管感染対策として有用と考えられる.外科治療の成否は瘤占拠部位,起因菌,破裂や感染等の患者状態等に依存し,早期死亡11∼36%,遠隔期死亡·合併症3∼14%と報告されている.最近ではステントグラフト治療も行われ,早期死亡は5%と良好であるものの,15カ月程度の追跡期間で瘤関連死亡·合併症が20%と多い.特に術後も感染が持続する場合1生率は39%と不良である.良好な結果が期待できるのは,消化管瘻がなく,術前感染が沈静化し,状態が安定した症例と考えられる.

キーワード
感染性大動脈瘤, 人工血管置換, 大網充填, 非解剖学的バイパス, ステントグラフト


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