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日外会誌. 109(3): 158-162, 2008


外科学会会員のための企画

外科医療における裁判外紛争処理(ADR)

茨城県医師会における裁判外紛争処理の現状と問題点

小松整形外科医院 

小松 満

I.内容要旨
茨城県医師会では,医事紛争解決の一つの手段として,患者と医師の間の誤解を解く場を提供するために医療問題中立処理委員会を設立した.
最も心に掛けたことはいかにして中立性を担保するかであった.費用,設立母体,委員の人選を医師会と無関係なものにしたかったが,委員の人選以外は医師会が主体と成らざるを得なかった.委員は弁護士会から推薦された弁護士三名,学識経験者として被害者支援センター理事長の大学教授,マスコミからは地元紙の社長,市民代表として男女一名ずつ,医師会から専門委員として三名の計十名が専任された.
2006年4月に発足してから,2006年度には14件,2007年度には8件の計22件が申し立てられた.申し立ては患者側21件,医療機関1件であった.
原因は手術に関するものが12件と最も多く,手術以外の治療に関するもの3件,検査に関するもの3件その他であった.
あっせん·調停会議を開催し結論が出たものは11件,継続中4件,取り下げ2件,相手側拒否1件,今後開催されるもの4件であった.合意に達したものは2件であるが,会議では合意しなかったもののその後当事者同士で合意に達したものが2件あった.
あっせん·調停会議の守備範囲が明確でなかったことや,会議のルールなど改善しなければならないことも多々あった.今後中立性の維持や,費用負担をこのまま医師会が続けるべきかなど解決しなければならない問題もある.

キーワード
中立処理


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