[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (605KB)

日外会誌. 108(4): 199-205, 2007


特集

重症虚血肢に対する最新の診断と治療

5.治療法の実際 
3)バイパス術

京都医療センター 血管外科

稲葉 雅史

I.内容要旨
近年の糖尿病合併例の増加は,重症虚血肢に対する認識,治療方策その成績の論議が本邦でも高まったことに意義がある.透析症例も含み動脈硬化性病変の首座が下腿動脈にあり,高度の石灰化を有する症例が多いため,いかなる血行再建においても治療戦略の立案や手技そのものにも工夫を要する場合が多い.これらの状況下では,大伏在静脈を中心とする自家静脈グラフト(以下AVG)を用いた足背動脈や後脛骨·足底動脈バイパスによる足部への充分な血流供給がその後の局所療法にとっても欠かせないものとなる.このためバイパス手技はIn Situ bypassが選択的に行われている.また,限局性狭窄病変に対するinflowの血管内治療(以下PTA)による再建を併用した末梢バイパスも手術侵襲軽減の意味から意義がある術式と考える.これらAVGの性状が良好であればその開存成積は満足できるが,バイパス後の局所療法も極めて重要であり,感染の進展の可能性を念頭に置き,デブリドメントを適確に追加することも欠かせない.細菌量の減少,バイパス後の浮腫軽減による治癒促進を目的とした持続陰圧吸引療法の併用は有用である.宿主動脈病変が一層高度な透析例では,足背,後脛骨動脈双方へのバイパスによる治癒促進も有効な方法であり,組織欠損が広範囲な場合はさらに遊離組織移植を行いfoot salvageを達成する必要がある.

キーワード
Diabetic Foot, End-stage renal disease, In Situ bypass, Paramalleolar bypass, Free tissue transfer


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。