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日外会誌. 108(1): 10-14, 2007


特集

癌の外科治療におけるインフォームドコンセント

3.胃癌

国立がんセンター中央病院 外科

阪 眞 , 笹子 三津留

I.内容要旨
外科治療のインフォームド·コンセントに際しては,患者が治療法を選択し決定するのに必要十分な情報の提供が要求される.勧めようとしている外科治療の全体像を,以下の項目に関して,簡潔に説明する.1.病名·病状·病期(ステージ)について,手術所見や迅速病理所見で診断が変更される可能性も示唆する.2.提案する手術について,適応は胃癌治療ガイドラインを参照し,その手術の内容と期待される結果について無治療を含めた他の治療法の予後と比較して説明する.3.術後合併症について,具体的な発生率とその対処法を説明する.また,必ず手術関連死亡の危険性についても言及する.4.後遺障害について,予防法や起きた場合の対処法も含めて説明する.とくに術後の食生活に関しては,管理栄養士からの詳しい説明の機会を別に設けることが望ましい.5.輸血について,手術同意書とは別の輸血説明同意書を用意する.6.切除標本および映像記録の取り扱いについて,何らかの研究に後利用することがある旨の包括的同意書を得ておく.発表目的の撮影や見学者が手技の記憶として撮る物も含めて了解が必要である.7.術中や術直後から始まる術後補助化学療法については,術前に説明する必要がある.

キーワード
インフォームドコンセント, 胃癌, 手術, 合併症


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