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日外会誌. 108(1): 3-9, 2007


特集

癌の外科治療におけるインフォームドコンセント

2.食道癌

群馬大学 病態総合外科学(第1外科)

加藤 広行 , 宮崎 達也 , 桑野 博行

I.内容要旨
固形癌の診療は医療技術の進歩に伴い治療法が多様化しつつあるが,それらの治療成績や安全性,手術後のQOLからみても,絶対的な治療法は未だ少ない.そのため患者やその家族が現在の診断や病状を理解し,その治療法を選択するのは非常に困難である.そのため医師が治療法に関する十分な情報を提供し,それらを患者が理解して治療法を選択するという,いわゆる「インフォームドコンセント」の意義が一般社会に強く求められている.医師が十分な説明を行うことが医療提供の重要な因子であり,その認識がよりよい医療環境を築くものである.
食道癌手術は,近年の医療技術の向上により比較的安全に行われるようになってきたが,いまだ侵襲が大きく合併症の発症頻度が最も高い手術のひとつである.また一方では化学療法·放射線療法が,他の消化器癌に比較して有効なことも多く,早期癌から進行癌に至るまで,多くの治療法の適応ともなり得,各進行度を通じて治療法の多様化と選択肢が多岐に亘るのが現実である.そのため,患者およびその家族に病状,治療の必要性,治療方法とそれに基づいた合併症,治療成績について十分に説明する必要がある.その上で患者がその利益,不利益を十分に理解して,最も適切な治療を選択できるような医療環境が重要である.

キーワード
食道癌, インフォームド·コンセント, 外科治療


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