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日外会誌. 107(4): 168-172, 2006


特集

膵癌治療―最近の動向

3膵癌の手術適応

1) 京都大学 外科(肝胆膵・移植外科)
2) 国立がんセンター東病院 

土井 隆一郎1) , 上 和広1) , 伊東 大輔1) , 川口 義弥1) , 上本 伸二1) , 吉田 茂昭2)

I.内容要旨
浸潤性膵管癌(膵癌)は手術切除,放射線化学療法,化学療法によって治療される.いずれの治療法も,他の癌種に比べると治療成績は不良である.一方,手術切除によってのみ長期生存の可能性があることも事実である.膵癌の手術適応はR0手術が可能かどうかで判断される.どの病期の膵癌にどの治療を選択するかは,施設の基準や診療する医師個人の判断で行われてきた傾向がある.日本で行われた臨床試験の結果,治療施設の規模は考慮に入れなければならないものの,膵癌取扱い規約第4版のStage IVa膵癌に対しては外科切除が放射線化学療法と維持化学療法の組み合わせよりも生存期間の延長が期待できることがわかった.今後は化学療法の併用を治療体系に組み入れた切除手術の適応をさらに検討する必要がある.

キーワード
膵頭十二指腸切除術, 膵体尾部切除術, 放射線化学療法, 全身化学療法, 臨床試験


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