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日外会誌. 93(11): 1372-1377, 1992


原著

1-methyl-3-nitro-1-nitrosoguanidine (MNNG) による高抗原性腫瘍株の誘導

京都府立医科大学 第2外科学教室

小林 雅夫 , 山岸 久一 , 能見 伸八郎 , 上田 祐二 , 林 隆志 , 岡 隆宏

(1991年7月8日受付)

I.内容要旨
C3H/HeJマウスのmethylcholanthrene誘発肉腫MCA-Fを1-methyl-3-nitro-1-nitrosoguanidine(MNNG)で処理し高抗原株を誘導し高抗原株に対する細胞性免疫反応および低抗原性の親腫瘍に対する特異免疫療法の可能性につき検討した. MNNG処理MCA-F細胞よりクローニングして得られたD-10細胞は正常マウスにより免疫学的に拒絶された.またD-10により免疫されたマウスは親腫瘍の生着を完全に拒絶した.しかし親腫癌MCA-F担癌マウスにD-10を接種してもMCA-Fの腫瘍増殖にはまったく影響を与えず特異免疫療法は成り立たなかった. D-10免疫牌細胞をin vitroでmitomycin-C処理D-10細胞で再刺激するとD-10に特異的な細胞障害活性が誘導され親腫瘍MCA-Fはまったく障害されなかった.またIL-2を含む培養液中でクローニングされた細胞障害性T細胞(CTL), C-E-6は親腫瘍MCA-Fに対し5.1%,D-10に対し79.1%またMCA-F特異的CTLクローン,C-6はMCA-F42.4%, D-10 25.0%の細胞障害活性を示し,高抗原性腫瘍株D-10が親腫瘍の抗原性とMNNGにより誘導された新しい抗原性を持つことが示された.

キーワード
メチールコラントレン誘発肉腫, 高抗原性腫瘍株, 細胞障害性T細胞, 癌の免疫療法


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