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日外会誌. 90(12): 1965-1975, 1989


原著

Flow cytometry による直腸癌細胞核 DNA 量測定に関する研究
ーDNA Ploidy Patternと臨床病理学的所見および術後遠隔成績との関連についての検討ー

久留米大学 医学部外科学第一講座(主任:掛川暉夫教授)
久留米大学 医学部免疫学講座(主任:横山三男教授)

荒木 靖三

(1989年1月20日受付)

I.内容要旨
直腸癌原発巣329例と肝転移巣11例の核DNA量をFlow cytometry (FCM)を用いて解析し,DNA ploidy patternと臨床病理学的所見や予後との関連性を検討し,直腸癌の生物学的特性の評価を試みた.その結果, aneuploid群では脈管侵襲,リンパ節転移および肝転移を高率に認めたが,壁深逹度別にはaneuploidの発現率の有意差を認めなかった.また,同一症例の原発巣と肝転移巣のDNA histogramを比較したところ, 36.4%にploidy patternの相違を認めた.再発率はaneuploid群が高く,stage II症例の累積生存率は低値を示した.
以上の結果より,術前に直腸癌細胞核DNA histogramを解析することは,直腸癌治療へ応用出来るほか,再発を予測するうえで従来の術前診断法に加えて有用と考えられた.

キーワード
直腸癌, 術後再発, flow cytometry, DNA ploidy pattern, DNA index (DI)


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