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日外会誌. 90(12): 1955-1958, 1989


原著

胃癌大腸癌細胞核 DN Aヒストグラムにおよぼす UFT の影響について

金沢大学 医学部第2外科

小坂 健夫 , 竹川 茂 , 大山 繁和 , 山口 明夫 , 米村 豊 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1989年1月23日受付)

I.内容要旨
In situで抗癌剤が腫瘍の癌細胞核DNA量分布に如何なる影響をおよぼすかを検討する目的で,18名の患者を対象に術前生検及び摘出標本から得られた材料を用いて,蛍光顕微鏡によりDNA量を測定した.患者の内訳は胃癌7名,大腸癌11名で,術前7日間UFT 4cap(tegafur 400mg相当)/dayが投与された5名を治療群,非投与の13名を対照群とした.
1)DNA index値は対象群・治療群ともに,術前生検値と摘出標本値とがよく一致した(p<0.05).
2)S分画およびS+G2M分画については,対象群では変化しなかったのに対し治療群ではUFT投与後摘出標本でそれぞれの分画比率が増加する傾向を示した(0.05<p<0.1).
以上より生検組織を用いDNAヒストグラムの検索が十分に行えることが示され,さらにUFTの投与により癌細胞核DNAヒストグラムのS分画,S+G2M分画はともに増加する傾向が示唆された.

キーワード
gastric cancer, colorectal cancer, nuclear DNA content, chemosensitivity


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