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日外会誌. 83(11): 1284-1294, 1982
原著
感染性心内膜炎の外科的検討
I.内容要旨抗生剤治療により細菌性心内膜炎の治療成績は改善してきているが,心臓外科領域において,治療の対象となる病態は多様であり,改善されるべき問題も多い.最近80カ月間に経験した自己弁膜感染性心内膜炎(HVE)の手術症例は13例であり,同時期における弁膜症手術の7.6%を占めた.又同時期に経験された弁膜手術後心内膜炎(PVE)は5例であり発生率は3.7%であつた.
HEVの手術成績は1例のみの手術死亡(7.7%)であつた.
PVEは2例に外科的治療を行なつて1例死亡,3例には外科的治療が行なわれず2例の死亡であり,死亡率60%と高かつた.
HVEの起因菌は9例で緑連菌,1例で大腸菌,3例で不明であつた.罹患弁は9例が大動脈弁,4例が僧帽弁であつた.
HVEの外科治療の上から,発症後外科治療までの期間によつて,I群:活動期,II群:治癒過程亜急性期,III群:治癒期に分類して検討した.有効な抗生剤療法の併用と手術手技上の注意によつてHVEの外科治療では,活動期症例を含めて良好な成績がえられた.
PVEの起因菌は3例がPs.cepaciaにより,1例が腸球菌,1例がKlebsiellaによつた.罹患弁は大動脈弁手術後3例,僧帽弁手術後1例,2弁手術後1例であつた. Ps.cepaciaによる2弁置換術後症例を内科的治療に改善せしめ,Ps.cepaciaによる僧帽弁術後症例を再弁置換にて改善せしめたが,他の3例は死亡した. PVEの発生の予防・治療の困難性には,大きな問題を残しており,各症例を提示して検討を加えた.
キーワード
Bacterial Endocarditis, Host Valve Endocarditis, Prosthetic Valve Endocarditis, Surgical Management, Prophylactic Chemotheraphy
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