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日外会誌. 83(5): 434-438, 1982
原著
液性因子よりみたendotoxemia時の心筋hyperreactivityとhyporeactivityの発生機序
I.内容要旨Endotoxemia時の経時的な心筋の反応性について液性因子の面より研究した.E.coli endotoxin1.75mg/Kgを成犬に投与し,5時間にわたり血漿を採取した.血漿中のカテコラミン濃度の測定,および犬血漿によりラットより採取した乳頭筋についての反応性,およびラットより分離したmyofibril中のadenosine triphosphatase (ATPase)活性の変化,ミトコンドリア呼吸機能におよぼす影響について,検討を加えた.
血漿中のアドレナリン,ノルアドレナリンはendotoxin投与後著明に上昇した.ドーパミンは,一時的に上昇するものの,すぐにendotoxin投与前値にもどった.Endotoxin投与2時間目の血漿は,乳頭筋収縮力を増強されるが,5時間目の血漿では,反対に低下した.
Myofibril-Ca
++ -ATPaseは,endotoxin投与後の血漿では活性化され,カテコラミン濃度と強い相関を示した.軽度ながら,Mg
++-ATPase活性も上昇した.反対に,ミトコンドリア中のATP産生に関する呼吸率はendotoxin投与後の血漿では早期より強く抑えられ,succinate dehydrogenase(SDH)活性は,時間とともに除々に低下した.電子顕微鏡写真においても,endotoxin投与5時間目の犬左室心筋では,ミトコンドリアの内外膜の破壊がみられた.以上の結果から考えてendotoxin投与後には血漿中にミトコンドリア破壊物質が存在し,エネルギー産生機構を障害する.しかし,初期には血中カテコラミンの放出により,一時的にmyofibril-ATPaseは活性化され,心筋の反応性は上昇しえるものと考えられた.
キーワード
endotoxin, myofibril-ATPase, mitochondria, myocardial contractility
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