日外会誌. 126(2): 182, 2025
手術のtips and pitfalls
肝膵同時切除における膵再建の工夫
「肝膵同時切除における膵再建の工夫」によせて
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京都大学 医学研究科肝胆膵・移植外科 内田 洋一朗 |
進行胆道癌においては外科的R0切除が唯一の根治的治療であります.胆管癌では肝門部領域胆管癌の膵内胆管までの伸展や,遠位胆管癌の肝内胆管までの伸展など広汎な水平方向伸展をきたす症例があり,肝葉切除と膵頭十二指腸切除の二大手術を併せて行う“肝膵同時切除(hepatopancreatoduodenectomy:HPD)”が根治を期待しうる唯一の術式となります.さらに,新しい治療法として“生体肝移植”が本邦の先進医療B(「切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植」)として,2024年5月より行われています(当科にて第1例目施行).これらの術式は消化器外科手術の中では最も侵襲度が高い手術であり,合併症率(特に膵液瘻)が高いため,より高度な確実な手術手技が要求されます.
通常の膵頭十二指腸切除術における膵再建法としては,膵空腸吻合法(1990年に報告された Blumgart法あるいはその変法)を採用している施設が増加し,膵液瘻の軽減が報告されています.一方,HPDや膵頭十二指腸切除を伴う生体肝移植における膵再建においては,通常の膵腸吻合とは異なる膵再建の工夫が必要となります.
今回の企画では,HPDにおける膵再建を取り上げ,膵再建の工夫につきまして,“膵頭十二指腸切除を伴う生体肝移植の膵再建”に応用した膵胃吻合を行っている神戸市立医療センター中央市民病院の成田匡大先生と,“HPDにおける膵再建”に膵胃吻合を導入している横浜市立大学の遠藤格先生に,「HPDにおける膵胃吻合のtips and pitfalls」についてご執筆いただきました.膵胃吻合を習得することは,肝葉切除を伴わない通常の膵頭十二指腸切除術における膵再建の次の一手にもつながると考えています.
本企画が会員の皆様にとって,通常の膵腸吻合とは異なる膵再建法として,外科医にとっての新しい“引き出し”となれば幸いです.
利益相反:なし
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