[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (595KB) [全文PDFのみ会員限定]

日外会誌. 125(4): 367, 2024

項目選択

手術のtips and pitfalls

多発骨折における肋骨固定術のtips and pitfalls

「多発骨折における肋骨固定術のtips and pitfalls」によせて

大阪警察病院 ER・救命救急科

水島 靖明



<< 前の論文へ次の論文へ >>

 
多発肋骨骨折によるフレイルチェストの治療は,従来,呼吸・疼痛管理を主体として行う非手術療法が基本でした.しかし,胸郭変形や長期にわたり残存する呼吸機能障害も問題となっていました.近年になり胸壁損傷,とくに肋骨骨折の外科的固定術(surgical stabilization of rib fractures: SSRF)の有効性の報告が増え,胸壁損傷に対する治療戦略が大きく変わりつつあります.どのような患者へ固定術を行うのがよいのかは,まだ明確とはされていませんが,非手術療法と比較して,①死亡率の低下 ②人工呼吸期間の短縮 ③ICU在室および入院期間の短縮 ④肺炎合併症率の低下 ⑤気管切開施行例の減少が,期待できるとされています.本邦でも,固定材料の発展や肋骨観血的固定術が保険適応となったことにより,SSRFの普及が進んできています.
今回の企画では,これら症例のエキスパートである高松純平先生と金子直之先生のお二方に,代表的な肋骨固定法である「ロッキングプレートによる肋骨固定」と「肋骨骨折に対する肋骨ステイプラー(KANI®)を用いた外科的固定術」のtips and pitfallsを企画し,解説いただきました.本企画が会員の先生方に役立つ情報になれば幸いです.

 
利益相反:なし

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。