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日外会誌. 125(4): 358, 2024

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会員のための企画

「外科専門医・小児外科専門医取得のための外科医の教育体制と外科教育研究―日米における比較」によせて

神戸大学大学院医学研究科 外科学講座小児外科学分野

尾藤 祐子



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優れた外科医を育てるための教育は重要な課題である.
外科医の仕事は基本的に手術であり,患者にとって最適の治療は何かを考える力が必要である.その力をつけるためには医学的な知識はもちろん,倫理観,手術の丁寧さ・巧みさ・安全性を体現する外科技術,自らの医療にフィードバックする姿勢,謙虚さ,患者の生活や人生に思いを馳せること,など多くのことが求められる.これらを含めて若手外科医が優れた外科医へ成長できる環境を整えることが重要である.
手術の適応や術式については医学的知識やガイドラインなどをもとに議論されるが,外科医の技術の部分は全ての手術に対してそうはいかない.また,社会全体が急速に変化している今,職種を問わず,過去の「背中を見て学べ」という時期から技術指導や教育方法が変化している.外科医育成についても同様に,外科教育の変化の時代にあり,現在や未来に目を向けて外科教育について真剣に考える必要がある.
今回,外科教育に詳しい鹿児島大学小児外科家入里志教授に執筆をお願いした.家入先生は日本外科教育学会にも携わり,加えて国内のみならず国際的にも外科教育に取り組まれている医師の一人である.今回はチームでの執筆で,まず日本の外科専門医制度とサブスペシャルティとしての小児外科専門医制度,続いて北米での外科専門医制度と小児外科専門医制度,外科教育研究をご紹介いただき,最後に日本での今後の展望にも触れていただいた.医療制度,保険制度,集約化の課題などは日本と北米では異なるものの,外科医のキャリアの積み方,人材育成について読者の先生方に大いに刺激になり参考になると思われる.また,研究対象としての外科教育,「教育を科学する」という観点に魅力を感じる先生も少なくないのではと思う.
本企画が会員の皆様にとって,外科教育に対する動機付けとなり,若手外科医の人材育成の一助となれば幸いである.

 
利益相反:なし

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