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日外会誌. 125(1): 71, 2024

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手術のtips and pitfalls

乳房温存オンコプラスティックサージャリーのtips and pitfalls

「乳房温存オンコプラスティックサージャリーのtips and pitfalls」によせて

横浜市立大学附属市民総合医療センター 乳腺・甲状腺外科

成井 一隆



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乳房オンコプラスティックサージャリーは,乳癌手術において根治性と整容性を両立させる概念で,1990 年代初頭に欧米で誕生したとされています.本邦では,2013年に人工乳房による乳房再建が保険診療で施行可能となった一方で,乳房温存手術が可能な腫瘍径の小さな早期乳癌に対しても安易に全切除+再建を勧める風潮が懸念となりました.乳房再建術にも様々な問題があり,根治性と整容性を両立させた乳房温存手術が可能であれば,より侵襲の大きい全切除+再建を勧める必要はありません.乳房温存手術では癌切除に伴う組織欠損に対して,人工物を使用せず,局所における組織の充填で整容性を回復することが患者満足度の鍵を握ります.最近では,特に乳房温存手術における根治性と整容性の両立について,乳房温存オンコプラスティックサージャリー(oncoplastic breast-conserving surgery:OPBCS)という名称が使用されるようになりました.OPBCS はヨーロッパを中心に数々の術式が開発され一般臨床で広く応用されています.日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会では,2021年1月にOPBCSに関する諸問題を解決する目的で,「OPBCS ワーキンググループ」を発足させました. 今回の企画では,この OPBCS を取り上げ,委員長である座波久光先生と委員である藤本浩司先生に,代表的な OPBCS の手技である volume displacement(乳房内組織で乳房の形成を行う)とvolume replacement(乳房外組織で乳房の形成を行う)のtips and pitfalls についてご執筆いただきました.本企画が会員の先生方に役立つ情報になれば幸いです.

 
利益相反:なし

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