日外会誌. 125(1): 2, 2024
会員へのメッセージ
医学用語委員会の活動
日本外科学会医学用語委員長,杏林大学医学部乳腺外科 井本 滋 |
医学用語委員会は外科学で必要とされる用語について,関連学会と協議を行いつつ,用語の適切な解釈とその使用を推奨し,外科学の進歩と普及に貢献することを目的としている.ネット社会では日々新たな造語が生まれては知らない間に廃れている.一方,用語はその分野で必要とされるコミュニケーションの基本を成し,生成A Iの時代にあっても数百年の歴史を経て不変のものから新たに使われるようになった用語まで様々である.言葉は生き物であるからその時代や倫理観を反映して用語自体や用語の使い方も変わらざるを得ない.但し,日本語として言葉に込められた美しさや意味の深さを失うような用語の変更は慎重に検討されるべきである.さて,世界共通の医学用語にはInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health ProblemsすなわちICDがある.ICDはWHOから厚生労働省が委託を受けて英語と日本語が紐付けされ,更に医療費請求における保険病名が対応する.当委員会では,ICD-11の和訳を含めた改訂作業にも協力している.
外科学用語集は平成14年に冊子体が完成し,平成15年にweb版が公開されて現在に至る(学会HP「教育・研究」にweb版が掲載).新たな医療技術,新たな医療機器に伴い用語は増加しさらに変化する.一方,明治初期に導入された西洋医学における独語,英語などの和訳が現在の用語の基本であるが,疾患への理解と病態が整理されるに伴い,用語の使い方も整理する必要が生じてくる.そこで,平成27年から8年ぶりとなる外科学用語集web版の改訂作業を現在進めている.掲載されている用語の日本語と英語の見直し作業や,新たに応募いただいた用語について関連学会の見解も踏まえた上で,令和6年度web版を年内にお届けしたい.その際は是非ご活用いただくとともに,日々進化する外科学に関する用語について忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
利益相反:なし
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