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日外会誌. 123(6): 576, 2022

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手術のtips and pitfalls

「直腸癌術後の骨盤内再発手術のtips and pitfalls」によせて

防衛医科大学校 外科

梶原 由規



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直腸癌の局所再発は根治切除施行例の1割弱に認められる比較的頻度の高い再発形式です.局所再発巣のR0切除が可能であれば根治が期待できる一方,再発巣切除は既に外科的侵襲が加わった骨盤腔に対する難易度の高い手術です.また,R0切除できなかった場合の予後は著しく不良であるのみならず,骨盤内臓器全摘除や仙骨合併切除などの周囲臓器の広範な合併切除が必要な場合は高度な侵襲を伴うとともに,術後の永続的な機能障害やQOLの低下を来すことから,リスクに応じた利益を得るためにも確実なR0切除を行うことが求められます.さらに,R0切除の可否を術前に判断することに加えて,術中出血を制御して安全に手術を施行するためには,正確な術前画像診断と術中の解剖認識が極めて重要です.
そこで,本企画では「直腸癌術後の骨盤内再発手術のtips and pitfalls」をテーマとして,当分野で先駆的なご活躍をされています2名の先生にご執筆いただきました.直腸癌局所再発に対する術前治療の有用性を検証する『 直腸癌局所再発に対する術前化学放射線療法の意義に関するランダム化比較第Ⅲ相試験(JCOG1801)』の事務局を担うとともに,局所再発に関するWEB相談システム(CONNECT-LR)のコンサルタントとしてご活動されている塚田裕一郎先生には,R0切除を目指す際の手術計画の策定や術中のコツについて概説いただきました.また,直腸癌局所再発に対する腹腔鏡手術のご経験が豊富で,当分野に関する多数の業績をお持ちの植村守先生には,腹腔鏡手術に際して把握しておくべき局所解剖と腹腔鏡手術時の要点について解説していただいております.本企画が会員の先生方にとって,日々の臨床に役立つ有益な情報となりましたら幸いです.

 
利益相反:なし

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