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日外会誌. 122(2): 131, 2021

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Editorial

最近のリモート学会を経験してみて

弘前大学医学部附属病院 小児外科

平林 健



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この日本外科学会雑誌第122巻第2号が,発刊される頃には,あのコロナ感染騒ぎはなんだったのだろうかと言われていることを祈りつつ,この原稿を,2020年9月末日(すこし超過してしまい10月5日)に書いています.
今年の2月ごろからの新型コロナウイルス感染蔓延のため,日本外科学会定期学術集会はWeb開催となり,現実の学会・研究会には,ほぼ半年出かけていない日々が続いています.
幸い,私が勤務している本州最北端地域は,新型コロナウイルス感染の蔓延もなく平和に,外科業務を続けられています.しかし,街には,首都圏・近畿圏に出かけにくい雰囲気が続いています.先日,職場の同僚および他の病院の仲間たち(まだ,病院からは5人以上の会食は避けるようにと制限されていますので)と,少し高めのお寿司屋さんに出かけましたが,入り口には県外からのお客さんお断りの張り紙がしてありました.私が勤務している大学病院の近所の繁華街も,ただでさえ寂れているのに,このコロナ禍の影響でかなり人手がへり,火が消えたようになっている印象がだんだん最近強くなっていると感じられます.今回の新型コロナウイルス感染症蔓延のダメージは大都市圏よりも,感染症が蔓延していないにもかかわらず,私の勤務しているような地方都市の方が大きいのではと思われます.
ところで,今回の日本外科学会定期学術集会のWeb開催ですが,開催された北川会頭ならび事務局の諸先生のご苦労は想像を絶するものだったかと存じます.本当にお疲れ様でした.
Web参加は,学会会場に出かける必要もなく,聴きたいセッションは,落ち着いて聴け,非常に勉強になったと感じられました.
しかし,発表をする側にたつと 聴衆の生の反応が感じられず,自分の発表が受け入れられたかがわからず,もどかしかったと感じられました.特に,ポスターセッションでは,ポスターの前に少数の同好の士が集まり,深い議論をするということもなく味気なかったという印象があったことは否めません.現実での学会時のように,たまたま時間が余って,聴きに入ったセッションで新たな知見を得るという楽しみも欠けていたとも思いました.また,何よりも,学会の大事な楽しみとして同じ志で学ぶ諸先輩・朋友(中には数年振りに,たまたま学会の場で会う修行時代の友人)たちと旧交を深めるという機会がなく,非常に寂しく感じられました.
やはり,ヒトという生物は五感で感じ,コミュニケーションをとり学んでいく生物であるということをつくづく感じました.
来年は,新型コロナウイルス感染蔓延もおさまり,皆様と直接に学会会場でお会いできることを切に祈りつつ,この稿を終わりたいと思います.

 
利益相反
奨学(奨励)寄附金:第一三共奨学寄付プログラム 2020年度

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