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日外会誌. 121(6): 571, 2020

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特集

ECMO,補助循環装置の進歩

1.特集によせて

千葉大学大学院医学研究院 心臓血管外科学

松宮 護郎



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心肺補助法の歴史は1954年の人工心肺装置の臨床応用に始まり,心臓血管外科の発展に大きな役割を果たしてきた.その後,膜型人工肺,遠心ポンプの開発,臨床応用を経て,1980年代にこれらと経皮挿入可能なカニューラを組み合わせた閉鎖回路による心肺補助装置,すなわち現在のECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)装置が臨床応用されるようになり,緊急心肺蘇生や重症心不全,開心術後心不全など循環維持を目的とする使用が急速に広まった.わが国でも一早く,簡便で一体化したシステムが開発されPCPS(percutaneous cardiopulmonary support)という独自の呼称が使われるに至った.さらに,新生児,成人呼吸不全など,呼吸補助を主体とする使用も発展し使用目的は多様化された.特に,成人呼吸不全に対するECMOは,今回の新型コロナウィルス肺炎の流行において重症例の救命に大きな役割を果たし,大きな注目を浴びるに至っている.ECMOに使用される様々なパーツやモニタリング機器はさらなる長期使用,合併症の防止を目指して発展しつつあり,適応はさらに拡大していくものと考えられる.
一方で,重症心不全はECMOのみでは救命困難な症例も多く,他の補助循環装置との組み合わせにより成績向上が図られつつある.さらには植込型補助人工心臓の発達により年単位での在宅管理が可能になり,患者QOLの向上に大きく貢献している.
このようにECMO,補助循環装置は進歩の著しい分野であり,わが国の開発者,臨床医がその発展に大きな役割を果たしてきた.本特集ではこれらの臨床応用の現状,今後の機器の改良,開発を含めた展望について各分野の第一人者に記述いただいた.

利益相反
奨学(奨励)寄附金:テルモ株式会社,センチュリーメディカル株式会社

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