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日外会誌. 121(4): 409, 2020

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特集

食道癌診療の現況と展望

1.特集によせて

浜松医科大学 医学部外科学第二講座

竹内 裕也



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わが国における食道癌診療は,先達のたゆまぬ努力によって診断,治療ともに目覚ましい発展を遂げ,その結果治療成績の向上において大きな成果をあげた.とくに外科治療は手術の低侵襲化と集学的治療を模索する時代を迎え,胸腔鏡・縦隔鏡下手術やロボット支援下手術,術前化学(放射線)療法によるさらなる治療成績の向上が期待されている.また食道温存治療としての根治的化学放射線療法は晩期有害事象の軽減やSalvage手術を根治的かつ安全に施行することが可能となり,近年治療成績が大幅に改善している.
一方で食道癌の診断,治療レベルが高度かつ複雑になるにつれて,専門施設と非専門施設での成績の格差も明らかになりつつある.とくに若い先生方にとって大学病院や専門施設以外では食道癌診療を経験することが少なくなってきているのではないかと懸念するところである.
今回,「食道癌診療の現況と展望」として特集を組ませていただき,食道癌の疫学から診療ガイドラインの概説,内視鏡治療,外科治療,集学的治療それぞれの最新トピックについて第一線でご活躍されている先生方にわかりやすく解説いただいた.専門領域外の先生方もご一読いただければ,わが国の食道癌診療体系を包括的に理解できる内容となっている.
食道癌診療の現況を俯瞰し今後の方向性を知る総説として,本特集が皆様の日常臨床のお役にたてば幸いである.

 
利益相反:なし

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