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日外会誌. 126(5): 443-449, 2025
特集
医療機器開発と医工連携
6.日本の医療機器開発の現状と外科医が取り組む医療機器開発の魅力
内容要旨
昨今外科治療の環境は大きく変化し,内視鏡手術やロボット支援手術の導入が進んできた.これらの外科治療の進展には新たな医療機器開発が深く関与しており,外科医はその主導者としての役割を果たしうる.
自らが最初に手掛けた医療機器開発は,腹腔鏡手術におけるクリップデバイスの開発であった.この経験を通じて,医療機器開発には医療者のニーズと企業のシーズを組み合わせることの重要性や着想から薬事承認に至る様々な医療機器開発ステップを学んだ.
国立がん研究センターでは,医療機器開発を推進する基盤が整備され,様々な専門家を配備し,多くの案件に取り組んでいる.特に近年ではスタートアップ企業が果たす役割が大きくクローズアップされてきた.自らも手術支援ロボットの開発を目指したスタートアップを起業し,日本で成功例の少ない中でM&Aに至り,手術ロボットANSUR
Ⓡは薬事承認された.また,近年のAI技術の進展も目覚ましく,外科手術におけるリアルタイム支援システムの開発も進められ,国立がん研究センター発のスタートアップ企業の製品SurVis
TMが薬事承認された.
現状の日本の医療機器市場は依然として輸入超過の状態であり,国産医療機器の海外展開を促進するための政策が積極的に進められている.外科医は,自らの臨床課題を医療機器開発で解決することに親和性が高く,新しいアイデアによる医療機器開発で外科治療の将来を変えていくことが期待されている.
キーワード
医療機器開発, 外科医, スタートアップ, 手術ロボット, AI
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