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日外会誌. 126(5): 450-457, 2025


特集

医療機器開発と医工連携

7.ロボット外科手術を安全に行うために医工連携研究から創り出した広視野角監視カメラ“BirdViewTM”が上市に至るまでの道のり

1) 北里大学メディカルセンター 外科
2) 北里大学 医学部下部消化管外科学
3) 北里大学メディカルセンター 呼吸器外科
4) 広島大学 医学部附属医学教育センター
5) 広島大学大学院 先進理工系科学研究科
6) 北里大学 医学部附属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門

惠木 浩之1) , 内藤 剛2) , 中馬 基博1) , 丸山 正裕1) , 藤尾 俊允1) , 太田 凌1) , 玉川 達3) , 服部 稔4) , 栗田 雄一5) , 佐藤 武郎6) , 海津 貴史1)

内容要旨
現在あらゆる疾患領域で内視鏡外科手術は標準的な治療となってきた.普及し始めて30年以上が経過したわけだが,順風満帆でここまで来たわけではない.
なぜ手術として確立していた開腹手術で満足することなく,全く違う内視鏡外科手術にチャレンジしてきたのだろうか?それは,患者の負担を軽減したいという純粋な思いからで,手術に懸ける気持ちが強い外科医ほど夢中になって取り組んできた.「Big incision is Big surgery」からの脱却である.
内視鏡外科手術では,モニターから得られる2次元画像情報をもとに同様の手術を行うわけで,3次元画像を構築する能力(空間認知能力)がこれまでとは全く違う能力として要求された.新しいデバイスの開発も必須で,外科の歴史において最も大きな革命であったかもしれない.一方で,この特殊な能力を要求されるが故に,手術手技自体が直接原因と考えられる術中合併症(出血や臓器損傷)によって,重篤な状況に至った症例が存在する現実もあった.
内視鏡外科手術を失ってはいけないという強い危機感から,適切な手術適応の決定と安全な内視鏡外科手術を行うための教育の重要性が注目されることとなったわけである.黎明期から内視鏡外科手術に携わった筆者も同じ思いで,「内視鏡外科手術を守り育てて行く!」決意をした.医工連携研究を通じて行ってきた,安全な内視鏡外科手術を確立するための取り組みを紹介する.

キーワード
BirdView, Robotic Surgery, Medical and Engineering Collaboration


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