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日外会誌. 126(5): 427-434, 2025


特集

医療機器開発と医工連携

4.日本におけるデザインアプローチの取り組み 先進事例と日本での応用

1) 東北大学病院 産学連携室
2) 東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野
3) 東北大学病院 未来医療人材育成寄付部門
4) 東北大学病院 臨床研究推進センターバイオデザイン部門
5) 東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座麻酔科学・周術期医学分野
6) 東北大学大学院医学系研究科 循環器学分野
7) 東北大学病院 放射線診断科
8) スタンフォード大学 医工学部
9) 東北大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学分野
10) マサチューセッツ総合病院 
11) ハーバード大学 医学部

中川 敦寛1)2)3)4) , 志賀 卓弥1)5) , 進藤 智彦6) , 櫻井 碧3) , 針谷 綾花7) , ハリソン バンクス8) , 原田 成美1)9) , 樋口 雅也2)10)11) , 遠藤 英徳2)

内容要旨
わが国では,今後,少子超高齢化に伴い生産年齢人口が激減する一方で,高齢者の増加と人生100年時代の到来により,慢性疾患への継続的な介入など,医療に期待される役割はますます多様化し,医療職に求められる業務は一層増えることが予想される.こうした“大きなミスマッチ”をいかに解決していくかが,喫緊の課題である.モノが概ね充足した時代となり,“これが欲しかった!”とユーザーや意思決定権限者に言われるコト・カチでないと医療機器の開発,事業化は難しい.これからの医療従事者,医療機関にとって,この大きなミスマッチを解消し,経済的規模を備えた産業を創出し,世界にスケーリングすることは,質の高い医療ヘルスケアを持続可能にするために重要な使命になると見込まれる.それを実現するため,デザインアプローチは“新しい機会を見つけるための課題解決プロセス”として有効であり,習得可能な社会技術とされている.わが国でもデザインアプローチを用いた医療機器イノベーションプログラム(バイオデザイン),医療機器開発や課題解決に向けて,医療現場を企業の開発研究者に開放するインフラ構築や専門人材育成などの環境整備が進みつつある.本稿では,デザインアプローチを用いた医療機器開発の意義と導入・実践の機会について,日本におけるバイオデザインの取り組み,米国の先進事例,および東北大学病院での取り組みを交えて概説する.

キーワード
イノベーション, 課題解決, 産学連携, デザインヘッド


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