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日外会誌. 126(4): 365-370, 2025
特集
移行期医療を考える.現場からの提言
8.先天性心疾患の移行期医療
内容要旨
近年,先天性心疾患の手術成績向上により,成人期に至る患者が増加し日本では50万人以上に達している.心房中隔欠損などの単純心奇形患者は成人期に制限なく生活することも可能だが,複雑心奇形患者は遠隔期合併症が進行することも多く,成人後も継続的な診療が必要となる.特にチアノーゼ疾患や単心室疾患は多臓器障害を伴いやすく,専門的な医療が求められる.
先天性心疾患における移行期医療は小児循環器科・循環器内科を中心に進められており,関連8学会が「先天性心疾患の成人への移行医療に関する提言」を発表し,多職種連携の医療体制構築を推奨している.大学病院や小児病院では移行に伴う体制も異なり,施設毎の対応が必要である.移行を円滑にするため,移行期チェックリストを活用した患者教育も推奨されている.
しかし,依然として①患者教育の問題(自立の遅れ,成人診療科への移行に対する抵抗),②妊娠・出産管理の問題(ハイリスク例に対する対応),③複雑心奇形患者の移行の問題,④知的発達症患者の移行の問題(社会的支援の不足),⑤多疾患合併患者の移行の問題(成人診療科の受け入れ困難)など多くの課題が残った状態である.
先天性心疾患領域は他領域と比べて移行期医療は進んでいると思われるが,さらなる体制強化が求められている.様々な医療従事者の育成と多職種連携,また社会全体での支援は必須であり,今後も継続した取り組みが不可欠であろう.
キーワード
先天性心疾患, 成人先天性心疾患, 移行期医療, 自立支援
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